第101回 株式会社くろちく

 今回は、和柄・和雑貨の開発や和の暮らしを総合的に演出されている「株式会社くろちく」さんです。
 1974年、創業者であり、現在代表取締役の黒竹さんが二尊院参道にてご自身でデザインされた嵯峨野の風景色紙等の販売を開始されたところから始まります。以降新しい京土産の開発を行い、嵯峨野、苔寺、曼殊院、大原にてオリジナルショップを展開。現在は、和雑貨の企画・製造・販売、飲食、ブライダル事業、ホテル事業、建築など京都ならではの素材やデザインでモノやサービスを作り上げられ、京都府内にショップ11店舗、飲食7店舗、宿泊施設2店舗を運営されています。
 “くろちく”さんといえば、かわいらしい和雑貨のイメージが強いのではないでしょうか。しかし、モノづくりは雑貨だけに留まらず、1980年頃代表取締役の黒竹さんは兵庫県吉川にて民家復元を行い「節舟庵」を設立。古民家の中で贅沢な料理を頂くという当時では斬新なお店となり注目されたそうです。そしてこれが“京町家カフェ”の始まりとなり、1989年に飲食部門「百足屋」を設立。当時京都市内は近代化の流れにある中、京町家を活用し復元した料理屋さんをオープンされます。生活文化や食文化を“生きたかたち”で残し、暮らしや文化を肌で感じられる今までにない空間となり飲食部門も飛躍されていきます。現在ではその流れが京都市内全体に広まり、昔ながらの景観を大切にした建築物が建ち並び伝統や文化が継承され続けています。
 2000年には、清水産寧坂に複合施設「青龍苑」をオープン。先人たちの想いがあふれる庭園や伝統的建築物を保存しながら、現代にも融合する機能を備えられ、京都ならではのお店や、「くろちく産寧坂青龍苑店」も入り歴史を感じる空間で買い物や飲食を楽しむことができます。
 「京都の魅力的な文化を、生きた形で使い、継承していきたい」とお話下さった代表取締役の黒竹さん。古臭さを感じさせない伝統工芸の設計や地域開発のお話は大変魅力的で今後の京都の発展がますます楽しみになりました。皆様も改めて歴史を感じられるお店に足を運んでみてはいかがでしょうか。