第114回 亀屋良長株式会社

 第114回は、京菓子司「亀屋良長(株)」さんです。享和3年、初代店主が良質の水を求めて京都・四条醒ヶ井(さめがい)にて創業。以来200年以上にわたり、湧き出る清らかな水を材料として、京菓子づくりに励んでおられます。創業当時より今日まで受け継がれてきた代表銘菓「烏羽玉(うばたま)」は、味や大きさは時代に合わせて変化してきましたが、つややかな餡玉にけしの実という意匠は守り続けられています。また、昔と変わらずオーダーメイドのお菓子には、お客様の要望に寄り添った商品づくりなど伝統の継続を大切にされています。そんな歴史ある「亀屋良長」さんですが、最近では新しい取り組みも始められています。
 「亀屋良長」とは別に始められた「吉村和菓子店」では、お菓子の甘味には、主にココナッツシュガーやメープルシロップなど、GI値が低めの天然甘味料を使用。ミネラルや食物繊維を豊富に含む素材も使い、栄養のことも考えた和菓子に仕上げられています。きっかけは、現在代表取締役社長の吉村さんが十数年前に病気を患われた際に、体に負担をかけないお菓子はできないか、と思い立って奥様の吉村由依子さんと立ち上げられたそうです。
 他にも京都のテキスタイルブランド「SOU・SOU」や京都のショコラトリー「Dari K」とコラボレーションした商品の展開や、パリの2ツ星レストランでシェフパティシエをしていた藤田伶美さんとコラボレーションしたオリジナルブランド“Satomi Fujita by KAMEYA YOSHINAGA”では、和と洋の融合を楽しめるお菓子となっています。
 代表取締役社長の吉村さんは、最近では女性の和菓子職人さんが多く、女性ならではの観点を大切に、失敗は恐れず新しい商品づくりにチャレンジしていってほしいとお話下さいました。
 皆さまも是非一度老舗和菓子店の新しい試みを見に訪れてみて下さい。