第162回 福島鰹株式会社
今年で102年目を迎える削り節、だしを扱う『福島鰹株式会社』さんです。創業は1922年(大正11年)福島明一郎さんが生まれ故郷の愛媛県中島(なかじま)で捕れた煮干などの干物を大八車に積んで京都で売り歩いたのが始まりです。戦中、戦後になると売るものがなく、非常に苦労した時代でした。落ち着きを取り戻したのは終戦から5年後の昭和25年頃で、昭和27年頃から味の提案営業を強化し、業務用だし削り節を専門に扱うようになり、小売りよりも業務用に力を入れるようになりました。
国内の飲食店が海外に進出し始めた2010年頃より、『日本のだし文化を海外へ提案するチャンス』と海外へ進出、今では22か国へ輸出しています。2014年にはアメリカ、アトランタに現地法人を開設、同年9月南丹市に現在の製造拠点となる京都南丹工場を新築。この工場では衛生管理の国際基準であるHACCP認証とイスラム教の戒律に沿っているハラール認証を取得、海外への需要にも対応できる工場となっています。南丹市に工場ができたご縁で、舞鶴の生産者さんとともに日本初の『サワラ煮干し』を開発、製品化することができました。この商品は第30回全国水産加工品総合品評会において農林水産大臣賞を受賞されています。
六代目社長福島武彦さんは、大学を卒業して3年ほど東京の会社へお勤めされていたのですがその後、京都へ戻り家業を継ぐことになります。営業マンから始め、昨年9月代表取締役社長へ就任。先代の宇田社長の『会社は人である』という意思を継ぎ、『これからも人を育て、人を大事にしながらその輪を広げていきたい。若い人の意見を取り入れながら、若い人材が動きやすい環境を私たちが作っていく。会社を変えていく人材がうちの会社には育ってきた。今、会社に来てくれている社員には本当に感謝している。』とおっしゃられていたのがとても印象的でした。人を大切にされながら、コツコツ真面目に100年を歩んでこられたその姿勢が商品に込められているように感じました。