第172回 グローバリーテック株式会社

 第172回は、創業30年を迎える電子部品および半導体装置製造の『グローバリーテック株式会社』をご紹介します。1995年2月、現社長の父にあたる山本博司さんが、それまで勤めていた会社から独立され、会社を立ち上げたことが始まりです。創業以来、電子部品および半導体製造の分野で地元企業との信頼を築きながら、大手企業とも取引を拡大してきました。しかし、リーマンショックによる経済危機では、メインの取引先からの半導体注文が急減し、売上が大幅に減少する苦境に直面しました。この経験から、取引先の多様化に取り組み、リスクを分散させる経営戦略を採用しています。
 現社長の山本知克さんは、36歳の時に入社され、これまでとは全く異なる分野でゼロから学び直し、努力を重ねました。経験豊富な社員が多い中、自分にできないことを他者に任せる「権限委譲」の考えに至り、各セクションのリーダーに権限と責任を託し、ボトムアップ型の組織作りを進めています。また、社員との対話を大切にし、意見やアイデアを自由に出し合える雰囲気づくりを意識しています。自分で考え、行動できる人材育成を目指しています。
 3年前に代表に就任した山本社長は、既存事業に加え、レーザー加工技術の研究開発に注力しています。7年にわたる研究開発には多くの資金と時間を必要としましたが、下請け業務から脱却し、メーカーとして最先端技術を提供することを目標にチャレンジし続けています。同社の特徴は、設計から受注、納品、アフターフォローまでを一貫して対応できる体制にあり、短納期で顧客ニーズへの柔軟な対応を実現しています。
創業時から続く「笑顔で仕事をする」という理念は、現在も受け継がれています。同社では毎年「笑」を含む標語を作成しており、今年度の標語は【笑頼】「得意先から信頼される」「社内で信頼し合う」ことで堅実な組織作りを目指す想いが込められています。
 取材の中で、山本社長の笑顔と人間味あふれる経営スタイルに、信頼と温かさが感じられました。グローバリーテック株式会社は、挑戦を続けながら、これからも地域と産業界への貢献を深めていくでしょう。