第40回 最高級茶筒司 開化堂

 第40回は、明治8年創業、日本で一番古い歴史をもつ手作り茶筒の老舗『開化堂』さんです。英国から輸入されたブリキを使い、それまでにない丸鑵(まるかん)の草分として創業しました。以来、職人の精巧な技によって、約130もの細かい工程を経ながら初代からの手法を守り続けています。熟練の職人でも1日に作れる数は10個前後だそうで、いかに手間隙のかかる手法かがうかがえます。
 使い込むほどにしっとりとした艶が生まれる開化堂さんの茶筒は、滑らかな手触りとまろやかな光沢が魅力です。フタの継ぎ目の線と胴の継ぎ目の線を合わせるだけで、すーっと閉まる精密さは手づくりならではのもの。手のひらでなでるように使いこんでいくと素材特有の光沢と色の変化を楽しむことができます。精密な二重構造による高い気密性により湿気を呼びにくい作りになっているので、日本茶の茶葉だけでなく、コーヒーや紅茶、パスタや乾物など幅広く使用できます。
 また、他の分野で活躍する京都の伝統工芸とのコラボ商品を提案したり、ロンドンの「ポストカードティーズ」のオリジナル紅茶缶を作ったりと、新しいことにも挑戦し続ける開化堂さん。近年は海外での取り組みにも積極的で、パリで開催される「メゾンエオブジェ」(インテリアや生活雑貨の見本市)や「ミラノサローネ」(国際家具見本市)にも参加し、高い評価を得ました。2012年には「ニューヨーク国際現代家具見本市(ICFF)」で「ICFFエディタース・アワード」を受賞するなど、古い歴史と伝統を守り続ける老舗が、今後どう時代の流れに挑戦していくのか、活躍がますます楽しみで目が離せません。