第42回 今西製菓(株)『京飴 綾小路』

 第42回は“京飴、ドロップ”の製造販売の『今西製菓』さんです。初代今西政助氏が、明治時代に入り開国して外国から入ってきたばかりのキャンディドロップに着目し、明治9年に京都市下京区綾小路で創業されました。現在4代目、130年余続く老舗です。
 玄関の扉を開けて中に入るとフルーツなどの甘い美味しそうな香りがしてきます。工場の奥に進むと、原材料の砂糖と水飴が炊きあげられ、その溶液が“真空釜”という機械を通り一定の時間で透明なドロッとした飴が出てきています。これに香料や着色料を入れ、手まり飴の場合は別の台に移して筋目を入れ、“球断機”という機械に通すと小さな玉型の可愛いアメがどんどん出てきます。冷却されている飴の貯蔵所には、カラフルな飴が山のように積み上げられていて壮観です。見ていると可愛らしく美味しい京飴ですが、夏には工場内は40度近くまで気温が上がり、飴自身も細工を入れたり、伸ばしている時は70度程になるため火傷とは隣り合せ。綺麗な飴の裏にはこうした大変な作業があったんですね。
 今西製菓さんの京飴には、童の遊具のような手まり飴をはじめとする細工飴や、ドロップロールを使用して製造する、いちごやハート形などのドロップ、抹茶や梅干し・黒飴など京都を感じる和風の飴など、約50種類以上の飴があります。近年では、京野菜の聖護院大根や金時人参、九条ねぎなどをすり潰してハーブエキスと中に混ぜ込んだ「京野菜のど飴」や丹波栗や丹波黒豆を配合した「京野菜飴」など珍しい飴も製造されています。手軽に楽しめる袋入りから、かわいい瓶入り、贈答用など、とにかく種類が豊富であれこれ迷ってしまいます。今西製菓さんの京飴は、オリジナルブランド『京飴 綾小路』のオンラインショップ、または京都市内のお土産屋さんやホテルでお買求めいただけます。
 昔からの製法、技術など変えてはならない所と、味や使用する原材料など時代に応じて変えてゆく所、伝統の京飴も日々進化しているのですね。乾燥しやすいこの季節に、ぜひ地元京都の京飴を試してみてください。