第71回 ㈱龍村美術織物

 第71回は着物の帯で有名な『株式会社 龍村美術織物』さんです。創業は明治27年、初代龍村平藏さんが西陣にて18歳で織元として独立したことに始まります。順調に販路を拡大しつつ技術の研究にも努められ、30代という若さで『高浪織』や『纐纈織』(こうけちおり)など数々の特許を取得、その革新的な技術力は周囲に衝撃を与えました。その一方で、『織りの技術はもとより、今後は図案の良し悪しがさらに重要になる』と考え、美術工芸学校から感性に富んだ学生をデザイナーとして採用し、優れた図案が次々と生み出されました。これも当時としては前例のない方法でしたが、その中には、堂本印象画伯をはじめ後に近代を代表する芸術家が多数在籍されていたそうです。
 その高度な技術とデザイン力をかわれ『株式会社 龍村美術織物』さんが手がけられたものは全国に多数あります。その代表的なものをご紹介しますと、『国会議事堂両院協議室の内装裂』、『京都祇園八坂神社門帳』、『歌舞伎座の緞帳』、『祇園祭の大船鉾 前懸』の復元、『国会議員の議員バッジ』などがあります。その中でも特に緞帳を手掛ける会社は全国でも10社もないくらい珍しいそうです。私達に身近なものですと京都市営地下鉄や新幹線のシート、全日空航空機内装などがあります。
 このような高級な帯や伝統ある懸装品を作る高い技術を生かして、私たちが日常的に使える和洋雑貨も製造販売されています。京都では京都高島屋の呉服売り場や京都ホテルオークラの地下2階でも販売されています。直営店として柳馬場御池にある関西店やオンラインショップもございます。龍村美術織物さんの日用雑貨で京都の高い伝統技術を肌で感じてみてはいかがでしょうか。