第116回 株式会社 最上インクス
第116回は「株式会社 最上インクス」さんです。1950年に京都で創業、京都のメーカー企業を中心に金属部品を製造し供給する会社として始まりました。創業者はもともと、関東にあるお寺の息子で、戦後お寺は継がず家族を養うために、金属加工の仕事を自宅の裏で始められたのが右京区西院になります。社名も最上精機から最上プレスそして現在の“最上インクス”になりました。
創業来、薄板の金属加工を軸に「顧客の思いを形にする」ことを製品の実現化を通して貢献領域を広げてきました。創業からその時代に必要とされる製品に使われる部品を製造し不足する社会に供給するため量産品を中心に事業を拡大してきましたが、世代が二代目に継がれたとき、当時の社長(現相談役)は、「今ある仕事は今後海外にながれていく、今まで以上に企業としての自立化が必要だ!」と健全な危機感のなか、当時の量産中心の事業軸からさらに源流の試作というより開発を支援する軸にシフトをしました。単なるサービスでなく事業として貢献できるよう努力を続け、現在では売り上げの60%以上を試作事業(開発時に必要な試作を作り提供するビジネス)へと成長されたそうです。
今年70周年を迎える「㈱最上インクス」さんは、2010年に三代目に事業が承継され、今後は企業規模だけでなく、企業価値(貢献の領域を広げる)を高めていく活動を進められています。これまで国内100%であった事業領域を北米や欧州などに広げ、また必要とされる部品開発や設備開発などを自社で行い、より貢献できる領域を広げていかれます。近年はデザイナーの採用によるデザイン経営を社内に取り入れることや「よりクリエイティブ!次の価値を定義するのは人!」に仕事をシフトさせるための、デジタル技術を構築する社員を採用するなど、「ものづくりの枠組みをかえる!」ことへの挑戦を果敢に行われています。
社長の鈴木さんとお話させていただくと、社員一人一人に信頼と尊敬の目を向けられ、一緒に会社を作りあげられているお話が大変印象的でした。今後更なる発展が期待されます。