第155回 京都エレベータ(株)
第155回は今年で創業40周年を迎えられるエレベーターのメンテナンスをされている京都エレベータさんです。
創業された当時、エレベーターは、三菱・日立・東芝など大手メーカーが製作し、ビルに設置、メンテナンスまですべて自社及びグループ会社内で行っていました。前社長岩島さんが各メーカーのメンテナンス受託しているうちに、全メーカー対応できる独立したメンテナンスだけを行う会社を作ろうと起業されたのが始まりです。
どのメーカーにも属さないメンテナンスを専門にする会社は珍しく、起業したものの各メーカーが必要な部品を売ってくれないという厳しい時期が長く続きました。
そこで、日本エレベータメンテナンス協会(当時)と東京のエレベーター保守事業協同組合に所属する独立系保守業者は、メーカーが部品を売らないのは「独占禁止法」違反であると大同団結して訴訟を起こし、約8年にわたりメーカーと闘ってこられた結果、1993年大阪高裁で勝訴されました。
今回取材をさせていただき私が1番感じたことは、とにかく従業員に対してとても手厚い制度をどんどん採用されている会社であるということでした。例えば、事務所に月1回トレーナーに出張で来てもらい無料でストレッチが受けられるとか、10連休の休みを各従業員に取ってもらう制度があるとか、たくさん伺いました。前社長は従業員を大事に思い、社員教育にも熱心だったそうです。その思いは今の田中社長にもしっかりと受け継がれています。
エレベーターは人の命を預かるものであり、そのメンテナンスの安心安全の重要性から、高度な技術と深い知識が求められます。しかしそれを学べる場所がないと気づかれ、5年後を目標にエレベーター学校の設立を目指されています。すでに出来上がっている教科書も見せていただきました。社長自身が常に目標を持ちチャレンジされていて、4年ほど前からは講師の仕事もされているそうです。その他、メイドイン京都のエレベーターを作る構想などいろいろお伺いできました。
皆さんが普段利用されているエレベーターにも【京都エレベータ】と書かれているものがあるかもしれません。エレベーターを利用されるときは、ぜひ行先階指定のボタン(正式名称は「かご操作盤」と言うそうです)に書いてあるメンテナンス会社名を気にしてみてください。