第164回 株式会社 日商社

 第164回は今年創業70年目を迎える総合広告会社『株式会社日商社』さんです。創業は1954年、中京区烏丸二条上ルにて会社設立、ラジオ広告を手始めに事業拡大を行いテレビや新聞、雑誌などの広告を手掛けるようになっていきます。
 翌年には早くもラジオ民放祭CMコンクール最優秀賞を受賞。またKBS京都で1957年に放送開始したラジオ『心のともしび』は、半世紀以上の歴史がある長寿番組となり全国放送ラジオ番組として今なお放送されています。
 世界文化都市・京都を基盤にさまざまな広告、ブランディング、イベント企画などを手がける中で、特に社長が印象的だったとお話しされたのは2011年に日商社が企画協力した「日本人の忘れもの」プロジェクトです。このプロジェクトは、現代人が忘れてきたものや取り戻すべき心、新たな価値観について考え、模索するもので、京都新聞社と共同で発足しました。その成果として、2013年には全日本広告連盟の鈴木三郎助大賞選考委員会特別賞を受賞し、現在も継続した事業として展開しています。このプロジェクトに賛同した文化人や企業、団体の代表者と共に、未来の世代に伝えていくべきものを考え、インパクトある発信を続けています。
 世の中の情報源はテレビや新聞、雑誌からSNSへと画期的に移行し、先の読めない「正解のない時代」となりました。それがゆえに今求められるのは正しい問い(課題の本質)をともに考え、新しい価値を創造することです。この大きな変化に対応するため、コミュニケーションデザイン、ブランディング、地域共創でのアプローチで課題解決に向け事業展開をされています。そして現在社長の関心事は、京都のナイトカルチャーをどう育てていくかということです。京都を観光で訪れる人々は昼間に様々なアクティビティを楽しむことができますが、夜は店が閉まってしまい、手持ち無沙汰になることが多いと思います。そこで、ナイトタイムエコノミーを通じて、京都の文化やまちづくり、観光における新たな夜の価値を創出しようというお考えです。今回の取材の中で社長の「日々新たに」という柔軟な考え方は、既成概念にとらわれずに会社を進化させていくための鍵となっていると感じました。今後も社会のニーズに柔軟に対応し続けることで、さらなる成果を上げていかれるものと期待しております。