第167回 シュンビン株式会社
第167回は今年で創業105年目を迎える『シュンビン株式会社』さんです。1919年津村濱店として創業、初代津村朝吉さんが伏見の酒造蔵が使う和樽製造を主にされておりました。戦後、1947年に京都容器工業株式会社を設立、日本酒の容器が樽からガラス瓶(一升瓶)へと変化していく中で、和樽製造から、一升瓶を回収し洗浄して販売するという事業へシフトしました。しかし、1970年代後半、日本酒が瓶から紙パックへと移行していく中で売り上げも低迷、そんな中2001年2代目社長(現在の社長の父)が急逝されます。
当時35歳だった津村元英さんが3代目代表に就任しました。まず酒造蔵に飛び込み営業を始めましたが、成果は思うように上がらず、会社は廃業の危機に直面しました。そんな中『自分たちでオリジナルの瓶をデザインし、販売してはどうか』とひらめき、『シュンビンプロジェクト』がスタートします。“旬の瓶”と“俊敏”をかけてこの名前が付けられたそうで、現在の社名となります。オリジナル瓶をもって、全国の酒造蔵へ営業に行き、売り上げは伸びていきます。そこから、瓶のラベルやパッケージのデザインも手掛けることとなり、包装・箱なども含めたトータルパッケージをご提案するようになりました。
その後、商品企画デザインの会社として順調に発展する中で、社長は「10年前に新規事業を立ち上げる際に悩んだ経験を活かし、自分を手助けしてくれる会社、つまりトータルでフォローしてくれる会社を作りたい」という思いが生まれたそうです。そこで、これらを統括するブランディング戦略を開発し、単発的な売上貢献だけでなく、長期的なパートナーシップの構築を目指すようになりました。これにより、クライアントの事業の根幹に関わる仕事を受託するという大きな事業転換を図ることができました。その成果もあり、2024年6月東京証券取引所 TOKYO PRO Market へ新規上場されました。
最後に、津村社長はこれからの会社のビジョンについて2つ挙げられました。1つ目は中小企業の企画部を代行する仕事をすること。2つ目はこれまでにないビジネスモデル(組織体制)をつくること、これはミッションとビジョンという2つの旗を掲げ、そこに集まる仲間たちが雇用という枠にとどまらず自由に仕事をするというもので、これまでの会社組織の概念を超えたものだと思いました。
今後も社長と社員の皆さまとのフラットな組織体制に立脚した活動で、クライアントとともに先進的なイノベーションを起こされていくことを期待しております。