第168回 株式会社 かわな工業

 第168回目の今回は、創業61年を迎える『株式会社かわな工業』さんをご紹介します。1964年に現社長の叔父が聖護院で建築内装におけるオーダーメイドの家具製造工場として創業しました。当初は建設会社の専属工場が主でしたが、その後の技術向上もあり、得意先から「内装工事や大工工事も手掛けてはどうか」と勧められ建築工事にも進出し業務内容を拡大しました。和風建築の素晴らしさと知識の吸収に努め、合理化を追求する世の中で原点を忘れることなくイノベーションし続けており、現在槙島にその活動拠点を移して企業価値の向上に努められています。
 特に2001年現社長が就任してからの企業価値の基本となる従業員の技術力向上には多くの労力を割いており、常に技を鍛錬しさらに経験を積み顧客の声をしっかり聴いて住宅建築、自社工場での家具製作に取組んでいます。従業員には国家資格取得を積極的に支援し現在社内には一級大工技能士が2名、一級家具製作技能士が3名在籍しています。他の従業員も二級や三級の資格を持ち、一級技能士を目指して日々努力しています。その効果もあり顧客からの信頼も絶大で、彼らの高度な技術力(かわなの職人技)は高い精度の源泉となっています。
 次に建築部門では一つの選択肢としてTD HOMEのフランチャイズにも加盟し全国ネットワークで材料の低コスト化を図り、豊富な規格型プランを提案し建築費を抑えながら顧客に希望の家づくりを提供し好評を得ています。
 今回取材させていただくきっかけとなったのは、地域貢献活動です。元々は、社長が「現場で出た端材が沢山あって、これを捨てるのはもったいない」と考えたことから始まりました。そう話していると、職人さんたちが端材を種類別に分けて綺麗に保管するようになりました。これを有効活用できないかと考えた結果、職人さんたちに小物を作ってもらい、それを「恵木物(エコモノ)」と名付けてマルシェなどで販売するようになりました。
 その活動の一環で、小学校からの依頼を受け、子どもたちに端材を使って自由に工作をしてもらう授業を行うようになり現在では、地元の宇治市だけでなく、京都市、長岡京市、井手町などでも活動を行っています。この活動をされている理由をお聞きしたところ「実際に木を使って物を作ることで、子どもたちには創造力や楽しさを広げてほしいと思っています。自分で作り上げた作品が自信となり、物や生命の大切さに気づいてくれることを願っています。また、職人さんという素晴らしい職業の存在を知ってもらい、その技術に触れてもらいたいと考えています。子どもたちの笑顔を届けるために、この活動を続けています。」とおっしゃられていました。
 今後は、地域に必要とされる企業として、他の地域企業とも協力して様々な取り組みを行っていきたいと話されていました。