第171回 FKK株式会社
今回は、創業70年を迎える点火プラグ、照明のメーカー『FKK株式会社』をご紹介します。1954年、現社長の祖父にあたる川田恒男さんが、農業用発動機向けの「点火プラグ」メーカーとして会社を立ち上げたことが始まりです。創業当初、他の企業との差別化を図るため、東京工業大学の教授と共に点火プラグを共同開発し、その技術力で世界でもトップクラスの着火性能を実現しました。当時は家族総出で製品を生産し、納品まで行っていましたが、業務拡大の必要性を感じ、有限会社富士工業所を設立。1975年には富士工業株式会社へと発展し、中国の仕入れ先を早くから開拓することで、セラミックなどの原材料を高品質かつ低価格で調達する体制を整えました。
1998年には、もう一つの柱として「電飾看板用スリムライトパネル事業」を立ち上げ、現社長の川田一力さんがその営業を担当。最初は東京の鉄道会社を中心に営業をかけましたが、なかなか成果は出ず、赤字が続きました。しかし、ある日、妻と訪れた大阪の化粧品売り場で多くの照明看板を目にした川田社長は、化粧品メーカー向けの市場に活路を見出し、大手化粧品メーカーの信頼を得て、店舗の照明を一手に任されるまでに成長しました。その後、事業はドラッグストアや百貨店、商業施設、ホテルなど様々な場所で採用され、会社の成長を支える柱となりました。特に長さや形状を自在に変えられる【LEDフレキシブルライト】は自社で独自開発し、製造工程の特許を取得した商品です。
2018年7月に起こった西日本豪雨災害をきっかけに夜間・停電時でも照らせる【蓄光機能搭載LEDフレキシブルライト】を開発。この商品は防災・減災を目指す事業構想で『近畿経済産業局長賞』をはじめ数々の賞を受賞しました。また、光の影響に関心を持つ川田社長は、大学教授と共同で虫が寄り付かない光の研究も進めています。さらに、テープライトに関するJIS規格の制定にも積極的に働きかけており、品質の差別化を図る取り組みを行っています。
コロナ禍で売り上げが落ち込んだ時期もありましたが、その間に新たな分野への研究開発を進めており、今後のさらなる成長が期待されています。