vol.10「桜からのバトンを受け継ぐように」
春風に招かれ咲き乱れる都の桜。その桜が散るたびに感じるのは、まるで春が終わっていくような寂しさ…。しかし4月中旬から下旬頃。桜からバトンを引き継いだかのように、黄金色の花が人々を虜にしていることをご存知でしょうか。それは「山吹」の花。桜と同じバラ科で、やわらかな黄色がうららかな春の日差しによく映えます。そんな山吹の名所が「松尾大社」です。渡来人の秦氏も信仰した歴史深い神社で、酒造の神としても有名。山吹はその境内を流れる一ノ井川沿いに咲き、その数なんと3000株。こぼれるように咲く素朴で愛らしい山吹は、桜が終わる物悲しさを忘れさせ、和やかな気持ちにしてくれます。春の京を彩るのは桜だけではないようですね。山吹色の京都もぜひお楽しみください。