vol.9「絶世の美女・小野小町」
「花の色は 移りにけりな いたづらに 我が身世にふる ながめせしまに」百人一首でもおなじみの小野小町は、エジプトのクレオパトラ、中国の楊貴妃とともに世界三大美女の日本代表。絶世の美女という肩書きのほかに、六歌仙として平安時代前期にその名をとどろかせていました。そんな才色兼備の彼女が、朝に夕に化粧をほどこしたという伝説の井戸が残る場所が隨心院です。今も水が湛えられた井戸に自らを写しだせば、当時美貌を誇った小野小町の気分に浸れるかもしれません。しかし晩年、彼女は自らの老いさらばえた姿を嘆き悲しみます。それが「花の色は…」で始まる有名な和歌です。最後まで歌人としての誇りを失わなかったからこそ、自らの衰えを悲しい嘆きとして和歌に詠んだのでしょう。